迷子の殺人鬼
だから、この話題になるといつも殴られてた。
私は、この考えだけは自分が正しいと思ってたから譲らなかったのだ。

彼はかなり独占欲の強い人で、束縛が厳しかった。

自分は好きに出掛けるのに、私が出掛ける時は事細かに聞かれて。
実家すらまともに帰れなかったのだ。
好きだったからなのか。
怖かったのか。

私は旦那さんの言う通りにして、一人で帰りを待っていれば良いんだ。

あまり一人で出掛ける事はせず。

友達と出掛ける時は、
友達に電話に出てもらい、
疾しい事が無いのを証明しなくてはならない。

この頃私は、友達を沢山失くした。

育った町は田舎だったから、学生生活の間中いじめは付いて回ったけど。
10代後半からは、学校生活以外の人との関わりが増えて。
折角友達が沢山出来たのに。

友達の旦那を説得しないと遊べないなんて。
誰だってめんどくさいだろう。
そんな風にしないと会えないなんて申し訳なくて。
私の方からは誘えなかったし。
当然、疎遠になってしまった。

一方旦那はと言うと、時々離れた町まで子供に会いに行き。
そのまま元妻の家に一泊して来るのだから、おかしな話だ。

「子供に会いに行くだけだ。
あいつとはもう何もない」

そう言われて許すしかなかったけど。
一度は愛し合って結婚したのだから。
その女のところに自分の旦那が泊まっているなんて、とても不安だった。



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