迷子の殺人鬼
「この病院は先生に凄く怒られるみたい」

私がそう言うと彼は。

「何で?」

こう返したのである。

私が少し固まった後。

「あ、そうか。そうだよね。当たり前だよね」

同様して変な答えをしたらしいが、彼の言葉には驚いた。

結局私は、自分が産まれた病院で、我が子を殺した。

3人目のこの子だけは、私は産めるものだと思っていたので、エコー写真が有る。

まだ本当に小さくて、先生に教えてもらわなければどれだか判らなかった。
写真を貰って、この小さな円がこれから人の形になって行くのかと楽しみにした。

1日に何度も写真を見返しては、
未来を想像した。

そういえば小学生の頃。
女の子の間で、将来子供に付けたい名前を考える遊びが流行ったな。
あの時私は何ていう名前を考えたんだっけ?
なんて考えながら。

まだお腹も全然変わらなくて、つわりも無かったけど。
お腹に手を当てては、会える日を待ち遠しく思った。

ほんの僅かな間だったけど。

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