背中の男
彼がこちらを向いた。
わたしの手は顔に寄せたままだ。
おもむろに彼の左手がわたしの髪に触れる。
おろした髪で隠されていた耳をあらわにされる。
ひんやりとした空気感じた気がした。
彼の顔がゆっくり近付いてくる。
…ちゅ…っ…
耳にキスされた。
それどころか形をなぞるように舐められる。
ぞくりと背中に鳥肌が立つ。
「…感じるの…?」
普段でも低く通る声が、
囁くように一層トーンを下げてこぼれた。
わざとじゃないのか。
一瞬肩を震わせ自分でもわかる程に紅潮した顔を背ける。
行き場をなくしていたわたしの手を握られた。
ほんの少し視線を戻すと今度は唇が重なった。
様子をうかがっているのか、
軽く吸われてそっと離れる。
ここまできたら今度はわたしから。
彼の首に腕を絡ませ口づける。
深く濃厚に。
舌で歯列をなぞり、
彼の舌と追いかけっこ。
お互いの唾液を交換し合い、
息をするのも惜しい程に。
満足はしていないけれどそろそろ解放しよう。
キスの拘束を解くと熱い瞳がわたしを捕らえた。
―――罠を仕掛けたのはどちらが先か―――
わたしの手は顔に寄せたままだ。
おもむろに彼の左手がわたしの髪に触れる。
おろした髪で隠されていた耳をあらわにされる。
ひんやりとした空気感じた気がした。
彼の顔がゆっくり近付いてくる。
…ちゅ…っ…
耳にキスされた。
それどころか形をなぞるように舐められる。
ぞくりと背中に鳥肌が立つ。
「…感じるの…?」
普段でも低く通る声が、
囁くように一層トーンを下げてこぼれた。
わざとじゃないのか。
一瞬肩を震わせ自分でもわかる程に紅潮した顔を背ける。
行き場をなくしていたわたしの手を握られた。
ほんの少し視線を戻すと今度は唇が重なった。
様子をうかがっているのか、
軽く吸われてそっと離れる。
ここまできたら今度はわたしから。
彼の首に腕を絡ませ口づける。
深く濃厚に。
舌で歯列をなぞり、
彼の舌と追いかけっこ。
お互いの唾液を交換し合い、
息をするのも惜しい程に。
満足はしていないけれどそろそろ解放しよう。
キスの拘束を解くと熱い瞳がわたしを捕らえた。
―――罠を仕掛けたのはどちらが先か―――