天国のマシュに会いたい
急がなければマシュの命が危ないと直感した私は、素手でマシュを抱き上げて車に乗せようとした。

その時、苦しむマシュに思いっきり噛みつかれてしまった。

マシュが私に噛みつくというのは、よほど苦しいのであろう。

致し方なく自分の着ていたTシャツを脱ぐと、それでマシュをくるむと私は急いで別のTシャツを着てマシュを車に乗せた。

早く病院に着こうと必死であったが、一、二分走った所で、千恵子に家を出た事を知らせようとして携帯電話を持って出るのを忘れているのに気がついた。

急いでいるのに何をしているのだと思ったが、慌ててしまっていたのである。

急いで取りに戻り一分でも早く着こうと、必死の形相で運転している私の太ももにマシュが手を伸ばして、
「助けて」
「ニャオオン、ニャオオン」
と叫ぶように鳴き、すがりつくような目で私を見つめている。

見つめるマシュに向かって私は何度も大声を出し



「がんばれマシュ・・・もうすぐ、もうすぐ着くからな」
と励まし
「死んだらいかんぞ。死ぬなよ・・・がんばれマシュ」
と必死で叫び続けている。
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