天国のマシュに会いたい
ひょっとすると歩けるかも知れないと思ったからである。

しかしゲージの中のマシュは躊躇ってゲージの外へは出てこない。

結局、この夜は歩かなかった。

翌朝、私がゲージの中を覗くとゲージの中のトイレの上に新聞紙が切れ切れになって入っている。

新聞紙を取り除いてみると便があった。

トイレの中で昨夜の夜中に便をしていたのだろうが、トイレに自分で入ったということは、たとえ数歩でも歩いたのだ。

新聞紙がトイレの中に入っていたのは、トイレが小さいので、便を隠そうと砂を掻く時に、座布団の上に敷いてある新聞紙を引っ掛けて入れたのである。

傷口からは絶え間なく少しずつではあるが、血や汁のようなものが出ているので、座布団を汚さないようにと新聞紙を敷いている。

とにかく自分でトイレに入り少しでも歩けたのは良かった。

その後いつもの日課である病院に連れて行き、いつもの治療をして帰り、私は仕事に行った。

そして、しんどいと感じながらも仕事をすべて終わらせた。

その日の夜、夕食後に昨夜と同じ様にゲージの入り口を開け放した。

はたしてマシュは歩いて出てくるだろうか。
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