天国のマシュに会いたい
しばらくの間マシュはゲージの中で座っていたが、やがて立ち上がると開け放してあるゲージの出入り口から歩いて出てきた。

そしてテーブルの方向に向かって歩き出したのだ。

歩く時に
「コツ、コツ、コツ・・・」
と骨が床に当たって音がする。

その音が痛々しかった。

そして時々休むように座りながらソファの所まで来た。

近頃は固形の餌を食べるようになったとはいえ身体は痩せ細っているし、手は骨だけのような状態である。

今では体重も三キロ台前半にまで落ちていた。

足を切り落としたせいもあるが、四、五キロ以上あったのが、僅か半月で三分の二近くになろうとしている。

よく耐えて命をつないでいるものだとマシュを褒めながら優しく身体を撫でてやるのだった。

翌朝、マシュの診察に行くと先生が
「いつまででも、通うのは大変だし、費用もかかるので、自分の家で、尿を出してやり、点滴をするようにしますか」
と問われた。
< 127 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop