天国のマシュに会いたい
二匹は、ほぼ同時期に家に来て九年以上が経過して兄弟のような関係の猫であった。

千恵子はリビングにキャリアーを持って入らなかった。

もちろんリビングの中には二匹の猫が居て、新しい侵入者の子猫のマシュに向かって排除しようと喧嘩を仕掛けていく公算が大である。

そこで二階にある知佳の使っていた部屋に連れてゆき、その部屋でキャリアーを開けてマシュを外へ出したのであった。

つまりクロとミルには顔を合わさないようにしたのである。

知佳の使っていた部屋に猫のトイレや食事や水を用意しておいて、その部屋にしばらくマシュを閉じ込めて飼うことにしたのである。



私は二階の部屋に居るマシュと初対面した。

私と顔を見合わせても、きょとんとしていて人見知りもしない。

手でマシュの身体を擦ったのだが怒る様子も無い。

ただ一度だけ、私とマシュのお互いの鼻を突き合わせた時に
「カァー」
と言って威嚇の声を上げた。

威嚇の声を出したのは、その一度だけで、その後は抱き上げても怒りはしなかった。

自分が知らない所へ来たことが気になっているのかも知れなかった。

知佳から聞いていた話では、誰にでもついて行くので、絶対に外へは出すなと聞いていたので、それで、あまり人見知りをしないのかなぁとも思った。

それと自分の飼い主であった知佳の部屋であり、においも残っているので安心しているのかも知れない。
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