天国のマシュに会いたい
回復しているのは当たり前である。

マシュが回復したから私の心も回復に向かっているのである。

それ以外に考えられる原因は無い。

九月八日の土曜日

前回、動物病院へ行った時に、一週間以上経てば、いつでも抜糸に来てくださいと先生が言ってくれてから、一週間以上が経ったので、マシュを抜糸に連れて行った。

抜糸は簡単に終わり、先生が残っている右足を診察して
「指先のミイラ化している部分は、そのうち自然に落ちるでしょう。あとは薬を忘れずに毎日、飲ますだけでいいでしょう」
と言って、十日分の薬をもらって帰った。

千恵子は仕事が忙しくて今日は仕事に行き、私は家でマシュと居たが、夕方、少し日が傾いてきた頃、マシュに外を見せてやろうと思い、玄関のドアまでマシュを抱いて行くとマシュを降ろし玄関ドアを開けた。

もちろん、まだ蚊が飛んでくるので、蚊取り線香を三個用意して、玄関の周りに置いて点けている。

しばらく、じっと外を見ていたマシュだが、ピョコン、ピョコンと数歩、歩み出ると座り、玄関の前で周囲を見渡している。

走ることはできず遊べもしないが、庭に出て行くと玄関近くに生えている大好きな草を食べ始めた。
< 165 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop