天国のマシュに会いたい
そして枕の中や座布団の中に猫じゃらしを隠したり出したりしながら遊んでやると、猫じゃらしを捕まえようと、ものすごい勢いで枕や座布団に突っ込んでくる。

私は面白くて、いつの間にか私の方も必死で猫じゃらしを捕まえられないように逃がして遊んでいた。

そうしているうちに昼のサイレンが鳴るのに気がついた。

千恵子が起きて下の階に下りていくのにも気がつかずに、いつの間にか二時間以上も遊んでいたのだった。

その時、私は将来、この元気なマシュが厳しい闘病の後に、天国へ旅立つとは、想像だにしなかった。

私は、仕事が暇で時間が有り余っていたので、すこし以前からSF小説を書いていた。

ずっと昔から、書きたいと思っていたのであるが、会社勤めの時には他にも趣味で陸上競技に携わっていたり、庭作りをしたりと、なかなか書き始める暇がなかったのである。

マシュが来る前日までは小説を書き始めると、夢中になって朝から夕方までずっと書いていたりしていた。

それが今日は午前中はマシュと遊んでしまい書けなかった。

それほど夢中になって遊ぶほどマシュの相手をするのは楽しかったのだった。

今まで、この住んでいる家を建ててから三匹の猫を飼ってきたが、これほど夢中になって遊ぶ猫は始めてであった。

三匹のの中で、もっとも遊んだ猫はクロであったが、これほどではなかった。

たいがいは、五分ほどは一生懸命遊んでいたかと思うと、ふいに遊ぶのをやめて、そっぽを向くのが常であった。
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