天国のマシュに会いたい
私はマシュを箱に納めるときに名を呼んだ。

だがマシュは、もう帰っては来ない。

私は千恵子に明日の朝は早く起きて、農協の市場で花を買って来てくれるように頼むと、寝室へ上がった。

時間は十月二日の午前一時半を過ぎようとしていた。

階段を歩いて上がりながら、涙が零れ落ちてきた。

それまではショックで、心が空になっていたのだろう。

涙が出ずに茫然としていた。

涙を拭きながらベッドに横たわるとマシュとの今までの出来事が、次から次へと思い出されてきて私は嗚咽した。

眠ろうと思っても眠れない。

心の中で
「マシュ・・・マシュ・・・」
と呼んでは、咽び泣いていた。

そのうちに、知らない間に、眠りに入っていた。

翌朝、私は午前七時に目を覚ますと、マシュの入っている箱を見に行き、マシュを撫でてやった。

その後、すぐに千恵子を起し、花を買ってくるように頼んだ。
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