天国のマシュに会いたい
十月中に亡くなった動物たちの合同慰霊祭は、三ヵ月後の一月の最終日曜日に行なわれ、その時に一個の骨だけ慰霊塔に残し、永代供養をしてもらう。

骨壷の残りの骨は、持って帰りたい人は、費用を払ってもらって帰れるし、いらない人は処分してくれる。

以前に亡くなった猫は、骨壷の骨は処分してもらったが、マシュの骨はもらって帰るつもりである。

寺は四国八十八ヶ所のひとつで、かなり有名な寺である。

本堂を目指して歩いて行くと、途中で右の脇道に入り、三、四十メートル進んだ所に、納骨堂と慰霊塔が建っている。

私は納骨堂に到着すると
「マシュよ。マシュよ。来たぞ・・・会いに来たぞ」
と言いながら、持ってきた線香に火をつけて、線香立てに線香を立てた。




すでに、涙が目から溢れ出ていた。




私は以前に亡くなった猫のときに来た経験から、どの付近にマシュの遺骨が納められているか、だいたい分かるので、その場所に行き
「マシュよ。来たぞ」
と言いながら、こんこんと叩いた。

すると周囲には、誰も居ないのに、納骨堂の中から、こんこんと音が返ってきた気がした。

私は不思議に思い何度か繰り返した。
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