天国のマシュに会いたい
初対面
私は千恵子に言った。

「マシュを、この部屋に連れてきて、他の二匹に見せてみるわな」

千恵子は
「二匹が喧嘩をしかけるで、だいじょうぶな」

と心配していたが、いつまでもマシュを部屋に閉じ込めておくのは、かわいそうであるし、いつかは二匹と対面させなければならないのであろうから、二匹にマシュの顔だけでも見せておこうと思ったのである。

私は二階のマシュの居る部屋に行きマシュを抱きかかえると、階段を下りてきて、そろりと部屋のドアを開けた。

そして部屋の中に入ると、ゆっくりとマシュを下に降ろした。

一階のダイニング兼リビングには、テーブルとソファや知佳の使っていたエレクトーンと椅子、そして私の机と椅子や本棚と水屋、猫のトイレや食器などがある。

マシュを連れて入った時にはクロはソファで居て、ミルはエレクトーンの椅子の上で居た。

マシュを降ろした瞬間、クロもミルも座ったままマシュをじっと睨みつけている。

私はマシュを動かないように、やさしく支えていた。

何とも言えない緊張した時間と空気が流れてゆく・・・

ややあって座っていたマシュが立って歩き出し、私はクロとミルが喧嘩をしかけてきたら防ごうとマシュの後ろをついていく。

歩くマシュを二匹の猫は、じっと目で追っている。
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