天国のマシュに会いたい
リビングを出て私が階段の前で立ち止まるとマシュも立ち止まる。

私はマシュを引き離してやろうと、一気に階段を駆け上がって行きだすと、マシュも急いでついて駆け上がってきて、途中で私を追い越すと寝室の前で私が来るのを待っている。

さすがに猫の方がすばやかった。

そして私が寝室のドアを開けると、マシュが中に入りベッドに跳び乗ると、さっそく遊ぶ体勢に入るのであった。

毎日、毎日が、そのような調子で私はマシュと過ごすのが楽しくて、楽しくてしょうがなかったし、マシュが可愛かった。

しかし現実に目をやると、私には仕事が無く、たまに仕事がきても、数日で終わる程度の仕事しか来なかった。

私は精神的には苦しかったのである。

ただ、マシュだけが癒しになっていたのかも知れなかった。

千恵子は、たまに知佳と連絡をする時に
「いつになったら、マシュを連れに来るんな」
と話をしていた。

知佳は避妊手術が済んだら連れに行くと返事をしていたが、私は、もうマシュを連れに来てほしくはなくなっていた。

できれば、このまま飼いたかった。
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