天国のマシュに会いたい
そして、いつものように寝室まで一緒に駆け上がっていく。

たまに私がテレビなどを見ていて、寝室へ行くのが遅くなると、一旦ドアから離れ水を飲みに行ったりしている。

その隙を突いて私が寝室へ行こうとリビングのドアを開けると、脱兎の如く走って追いかけてくる。

そして閉めかけたドアの隙間をすり抜けて階段を駆け上がる。

驚くほどの速さである。

一瞬、閉めかけたドアにマシュを挟みはしないかと、こちらがひやりとしてしまう。

あの勢いで走って来ているマシュをドアに挟むと大けがをしてしまう。

私はマシュの油断した隙を突いて、寝室へ行くのをやめることにした。



そして十月下旬になり、いよいよマシュの避妊手術の日がやってきた。

その日の朝、マシュを病院に連れて行き、手術後、一泊して明日引取りに行くことになっている。

次の日の夕方、マシュを引き取りに行ってもよいか電話を動物病院にすると、出てきた受付の女の子が

「ああ、あの性格が、きつい猫ですか」
と言い

「あの鳴いている声が、電話でも聞こえますか?」
と訊いてきた。
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