天国のマシュに会いたい
そんな筈は無い。

家ではほとんど鳴くことも無いし、鳴いても、か細い声で

「ニャーン」
と鳴くだけなので、受付の女の人が話すのが信じられないが、確かに電話の向こうで

「ニャーオ、ニャーオ」
と大きな声で叫んでいるのが聞こえる。

引き取りに行くと叫んでいるのは、まさしくマシュであった。

手術後の包帯を巻きつけた身体で叫んでいる。

あの我が家での感覚からして信じられなかった。

とにかく、引き取って家に帰ってくると、叫ぶのはやめて普通に戻っていた。

のちに発病した時に別の病院で診てもらったのだが

「避妊手術の時に、よく死ななかったですね」

と言われたのだが、その時は、全然何も分からなかった。

包帯を身体に巻いた姿を見てミルが匂いにやってくる。

クロとミルは動物病院が大嫌いで、連れて行く時には、いつも網に入れ連れて行くのだが、病院でも、ものすごく診察するのに抵抗するし大変なのである。

そのミルが少し匂うと嫌な顔をして遠ざかって行った。

病院から帰ってきたのが、分かったのであろうか。

一週間後に抜糸するまでは手術をした後の傷口が開いたらいけないので、包帯姿のままである。

翌日、中国人の女の子がマシュと遊ぼうとやってきたが、マシュの包帯姿を見せて手術をしたので一週間は遊べないと説明すると、納得しておとなしく帰って行った。
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