天国のマシュに会いたい
それを聞くと、私は頼むからマシュを連れに来ないでくれと祈っていた。

知佳は知佳で、東京からここまでの往復の交通費がずいぶん必要になるので、何かの用事のついでがないと引き取りに来るのが無理のようであった。

マシュが我が家に来てから二ヶ月が過ぎて、もう完全に我が家の一員になっている。

もう東京なんかへ、連れて行ってほしくはない。

私は千恵子に
「もう、ここでずっと飼ってやったらいいやん」
と話すが、千恵子は

「知佳が飼うと言ったんやから、知佳が飼わないかん」
と言う。

この先、知佳が連れに来るのか、来ないのか。

私は来ないのを願うしかなかった。

そういえば知佳が大阪でマシュを飼っている時に、マシュが自分の腕をしゃぶりまくるらしく、何でそういう行動をするのか訊いてきたことがあった。

確かに我が家へ来てからもマシュは、しょっちゅうどちらかの腕を

「チュパチュパ・・・」
と吸っているのであった。

寝ているのかなと思うと、目を半開きにしたり、閉じたりしながら、チュパチュパと一生懸命に腕を吸っているのである。
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