天国のマシュに会いたい
他の二匹は知らん顔をして眠っているのに・・・

ただマシュは毛が深くて寒さを、あまり気にしないのが救いであった。

冬になって千恵子の仕事が休みの日には、千恵子は朝寝をするので、私は一度起きて寝室から玄関へ行き新聞を取って、ついでにリビングのドアを開け放してから、またベッドに戻る。

もちろんリビングのドアを開けると、その向こうにはマシュが欠伸をしながら
「おはよう」と起きてきている。

私がベッドに戻り、新聞を読んでいると、とんとんとんと、階段を駆け上がってくる小さな足音がする。

そして新聞を読んでいる私の横をマシュが通り過ぎていく。

通り過ぎる時、私の顔を、ちらっと一目見ると、そのまま足元の方へ歩いて行き、足元の窓脇に置いてある小さめのたんすに上がり、そのたんすの上に置いてあるテレビに乗る。

そしてそこから、カーテンレールに飛び移り、カーテンレールを渡り歩く。

カーテンレールの端まで行くと、どうにか落ちずに上手くターンして元へ戻れる時もあれば、落ちそうになって、ターンできずに、そのまま後ずさりして元に戻る時もあるが、どちらにしても、カーテンレールの上を渡り歩いた猫を見るのも初めてであった。

一度だけ、ターンしようとして落ちて、前足でカーテンレールにぶら下がっていたので、寝ていた私が起き上がって、抱いて下へ降ろしてやったことがあった。
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