天国のマシュに会いたい
猫は身体が柔らかいのでハーネスを自分で器用に外せるのである。

それからは外へ出ても外されないように注意していた。

四月の間は、まだ私も仕事が、ぽつぽつとではあるがきていた。

でも私が帰ってくる夕方でも、それなりに晴れていれば暖かかったので、雨以外の日や寒い日以外は、毎日のようにマシュを外へ散歩に連れ出していた。

だが道路まで連れ出すことはほとんど無く、我が家の庭の中だけにしていた。

ところがである。
事件は、またもや起こってしまった。

土曜日の日に千恵子がハーネスをして、マシュを散歩させていて、道路へ出たところで、またまたマシュがハーネスを外してしまったのである。

私は一緒に居てマシュがハーネスを外して逃げたのを見て、咄嗟に裏に向かって走った。

そして隣の家の裏に回ると、向こうからマシュがやってくる。

摑まえようと待ち構えていると、私が待ち構えているのを見て、マシュは、ぷいっと方向を変えると表へ向かって走り出した。

だが表では千恵子が待ち構えていた。

それを見てマシュが隣の家の真ん中で立ち止まってしまい、千恵子が

「マシュ・・・マシュ・・・」
と呼ぶが、動かない。

隣の家には勝手に摑まえに入れないし、困ってしまった。
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