天国のマシュに会いたい
「あんまり綺麗な猫じゃないなぁ」

写真を見た時の私の第一印象であった。

送られてきた写真の中に、まっすぐに上を向いてカメラを見ている写真があって、それを見ると顔の真ん中の目の周りから鼻にかけてが薄茶色になっている。

なるほど、見た目が狸のように見えるのが頷ける。

実際の狸は目の周りが黒っぽい色になっているので、その反対であるが、不思議なことに、ぱっと見た目の印象は、狸のように感じるのである。

動画を見てみると、知佳の操る猫じゃらしに必死に喰らいつこうとしていて、なかなか活発な子猫であった。

しかし見たところは、まだまだ小さくて、普通私たちが子猫を譲り受ける時よりも、かなり小さく見えた。

よほど小さい時に親と引き離されて、あちらこちらと渡り歩きながら、よく生きてこられたものだなぁと感じたのだった。



梅雨が明けて暑い夏の日が過ぎてゆく。

私たちは時々知佳とメールや電話で子猫の状態やどんな状況かを訊ねた。

知佳からも餌の種類やトイレの砂の種類は、どんなのがいいのか問い合わせがあった。

そうしながら、一応、順調に日々は経過していったのであった。
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