天国のマシュに会いたい
マシュは、いつもの表情である
「えへ」
という顔をして、平気で四、五メートルの間隔で犬と向き合っていた。

最終的には犬の飼い主がゴールデンレトリバーを引っ張り、去っていくのであった。




千恵子は連休中も仕事は暦どおりの休みである。

千恵子が休みの日は、彼女がマシュを散歩させていた。

マシュの散歩は時間が長かった。

なので、じっとして動かない時には手に持っているハーネスを手から離して、様子を見ていたりする。

今思えば、時々じっとして動かないのは病気の影響があったのかもしれない。

そして動き出すと、またハーネスを掴むのであった。

連休が終わろうとした時、突然に知佳から連絡があり、東京を引き上げて帰ってくるという。

突然の知らせに千恵子は慌てて知佳の部屋を掃除して片づけをしていた。

大阪から東京へ引っ越して半年ちょっとが過ぎたところなのに、何故また突然に帰ってくる気になったのだろうか。

知佳は何事も突然に決めて知らせてくるので、いつも慌てさせられてしまう。

でも、これでマシュの東京行きは絶対に無くなった訳であり、私は嬉しかったのである。

心から喜んだ。
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