天国のマシュに会いたい
知佳は立ったまま、匂いを嗅いでいるマシュを見つめていた。

数秒後、知佳はしゃがむと、マシュを撫で始めた。

もし知佳のことを忘れているとすれば、身体を撫でられると、普通なら威嚇するはずだがマシュは、そのまま撫でられている。

そのうちに匂うのをやめて、じっと撫でられている。

どうやら知佳のことを思い出したのか、覚えていたようである。

知佳が帰ってきたのでマシュとの遊ぶ空間が少なくなった。

今までは一階と二階の全部の部屋を利用して、私が獲物である道具を持って逃げ、マシュが追いかけて来ていたのであるが、知佳の部屋が使えなくなってしまった。

五月も中旬になってくると、朝晩も、そう寒くは無い。

私は暇なので、朝七時くらいに起きると、新聞を取りに玄関へ行き、ついでにリビングのドアを開け放してくる。

もちろんリビングのドアを開けた時には、マシュが、ちょこんと座っていて
「おはよう」と欠伸をしている。

そして私は寝室のベットに戻り、寝ながら新聞を読むのであった。

その時、ついでに階段の所にある窓と、寝室の西側の窓を開けておく。

そうするとマシュが二階へ上がってくる途中で、階段の窓に駆け上がり、外を覗いたり、寝室に来て、寝室の窓から外を覗いたりしている。
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