天国のマシュに会いたい
父親などは、つきっきりで世話をしたのに、売り上げが減ったのは私自身の責任であると言って私が不甲斐ないと責めるように言う。

母親も同じ様なことを言ってくるし千恵子も自分の父親が入院したので父親の世話をしに行くのは当たり前であるから私の仕事が減ったとかどうとかは自分は関係ないと言う。

千恵子の言うのは当然であろうし確かにそうなのだが・・・

私はいったい誰の為に仕事を休んでまで世話をしたのだろう。

非常に辛い毎日が過ぎていくのであった。

それでも、どうにかしなければいけないので新しいお客さんを作る努力をしていた。

今のままでは今年も百万円台の売り上げしか望めない。

何かいい方法はないかと考えあぐねていたのだった。

このままでは、あと何年持つか分からない。

蓄えが底をついた時点で自殺を考えないといけないのだろうかと追い詰められた心境になっていた。

みんな自己主張するだけであり私は誰にも助けを求められなかった。

本当に苦しかった。

マシュだけが、本当にマシュだけが心の救いであり癒しであったのだった。

夕方、千恵子が帰ってくるとマシュを散歩に連れ出す。

その時、私は蚊取り線香を玄関周りに三個並べ、家の中への蚊の侵入を防ぐと玄関の出口に椅子を置き、千恵子が散歩させているマシュを見るのが楽しみになった。
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