天国のマシュに会いたい
ベッドに横になって天井を見つめていると、少しして

「トントントン」
と階段を駆け上がってくる音がする。

それはマシュであり、ベッドの横まで来ると座って私を見る。

次の瞬間ベッドに上がると私を乗り越えていき、自分も寝そべって身体を舐め始める。

そんなマシュの姿を見ているうちに知らぬ間に眠ってしまう。

昔の自分からは想像もできないことであるが昼寝をしてしまうのである。

学生時代から陸上競技の活動をしていて、年齢が三十歳を過ぎてからも年齢別の試合に出場したりしてトレーニングは続けているし、少しでも時間があればトレーニングジムや競技場に練習に通ったりしていた。

ただし走るのは変形性関節症になり手術をしても良くなる確率が低いと言われたので諦めたのだが、トレーニングジムは通い続けており、たまには少年たちや年配の人にトレーニングの仕方を教えてあげたりもしている。

そんな訳で日中に寝るなどということは考えた事も無かった。

そんな私が知らぬ間に昼寝をしてしまうのだから、精神的にずいぶん参っていたのだと思う。

一時間くらいすると目が覚め横を見ると、マシュが千恵子のベットの上の枕を利用して、眠っている。
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