結婚しました!
「ま、まじか?」

その薄汚れた寝顔は、かなりの美形。


しかもたぶん女。


この11月の寒空にこいつの服装ときたら

ヨレヨレのトレーナーと中学生の学校指定ジャージ。


穴のあいた靴下を履いてピンクが汚れて

グレーになったたひざ掛けを巻いていた。



なぜこたつに潜った奴の服装をはっきり言えるかって、

それらが全て脱ぎ散らかされているからだ。


たぶん。いや、絶対コイツコタツの中は全裸だ。


あ、でもかろうじて一枚は履いているかも…

脱ぎ捨てたものの中にはない。


俺はゴクリと生唾を飲んだ。


これって、なかなかお目にかかれないシュチエーションでは?



コタツ布団に手をかける。


せーの…


バチリ


くるりとした丸い目と目があった。


こたつの美形が目を開いてじっと俺を見ていた。


「わっ!!」


リアクション芸人のように俺は大きく後ずさりして

どすんと尻餅をついた。


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