結婚しました!
家に戻ると、


「お帰りなさいませ。」


玄関に三つ指ついて出迎える彼女。


「お。おうただいま。」


「いろいろお世話いただいたお礼に、

 お掃除とお食事をご用意しました。」


俺の着古したダボダボのスェットを着て

風呂に入って小奇麗になった彼女は、

一層可愛らしく見える。


「コレ、買ってきてやったから着替えるといい。」


渡した袋を受け取ろうともせず、


「わざわざ買いに行って頂いたんですか?

 私、あなた様にはなんのお返しもすることができませんのに

 いただけません。」


いうので、

俺はイラっとしながら、



「いつまで俺のトランクス履くつもりなんだ?


 それじゃ外にも行けないだろうが。


 お前は人の親切を無にするつもりなのか?」


と言ってやった。


彼女は、渋々受け取り、


「ご迷惑ばかりおかけして本当に申し訳ございません。

 いただいたご恩は必ずお返しします。」



ハラハラと泣き始めた。



何なんだこのめんどくさい時代錯誤な女は。

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