結婚しました!
下田病院は、思ったよりも大きかった。

個人病院でありながら、

内科外科、胃腸科、神経科、

心療内科、小児科、リハビリテーション科

など、ありとあらゆるかがあるんじゃないかと思うほど

ずらりと診察室が並んでいた。

俺たちは、診察室でなく

病院内にある面談室のようなところに通された。


「やあ、音々ちゃん久しぶりこんにわ。」


由比と名乗るドクターは、

初老の優しそうな医師だった。


「すみませんお時間頂いて、」


「いいんですよ、

 医者は時間作るのも仕事です。」

 

彼は笑いながらこそっとつぶやいた。

「それに、実は暇なんです。」


そしてしばらく音々の顔をじっと見て、

「28歳だって?あれから10年以上経ったんだね。

 無事生きてくれてたんだね。」


ドクターが懐かしそうに、でも、

ちょっと変わった物言いをしたのに

俺は気付いた。





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