結婚しました!
「あの、八起様?」


「ん・どうした。」


「仕事なんですが、

 履歴書を書かないと面接してもらえないです。


メイド服を売って下さったお店で、

採用してくださるというんですが

履歴書は書かないとならないらしいのです。」


「そういえば、猫耳付きメイド服なんて

 どこで買ってきた?」


「公園の親切な方が、あ、ひざ掛けを下さった。


 その方が、教えてくださったお店です。


とても楽しいお店です。今度ご一緒に!」



「ああ、そうだな。」


「それで!履歴書なんですが!私住所が不定らしいのです。」


「そうか。一度お前の実家に行って、いろいろ手続きをしようか。」


「?それはどう言う?」


「住民登録をこっちにするってことだよ。」


「そんな、そんな!でも、八起様にそんなことさせては?」


「ひとりでできるのか?」


「できません。」


小さくなってうつむく音々


「乗りかかった船だ。付き合ってやるさ。」



「八起様!大好きです!」



その言葉が、感謝の言葉だと分かっていたけれど、

心臓が止まるかと思った


大好きなんて言葉を言われたのは10年ぶりかもしれない。






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