結婚しました!
電車でふた駅のところに音々の実家がるという。


「私が中学生の時、母は父のもとを離れました。

 割と有名な音楽家で、私はその母から、

 チェロとバイオリンを習いました。


 母が家を出て、3年ほどして、

 父は私に海外留学を勧めました。


 おかげで、私はあちらの大学を出て、

 楽団で雇ってもらえ、なんの不自由もなく音楽家として、

 活動させてもらいました。


 父も、ウィーンに移り住むと言っていた矢先にガンが見つかり、 

 こちらに戻ってきたのですが

 あっという間でした。」



彼女は電車の中で淡々と喋っていたが、

父親の行になると、

ポロポロと大粒の涙を流した。


「馬鹿、俺が泣かしたみたいだろ…」


「す、すみません。」


周りにジロジロ見られながら、

二つ目の駅でそそくさと俺たちは降りた。





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