結婚しました!
「あら?あなた何しに来たの?」


インターフォンから年配の女の人らしい甲高い声が聞こえた。


「野村と申します。彼女の身の振り方の相談に参りました。」


「は?そう、まあ、お上がりになってください。」


不機嫌そうな口調でぶつりと音声が切られた。


「ね?お優しい方でしょう?父の妹さんなんですよ。」


音々はニコニコしながら俺に言う。

どこがじゃ、どう見たって門前払いしようとしたろ、

他人がいるから、無碍にできなくて、

忌々しいって態度が見え隠れしてたじゃん。


どこまでお人好しっていうかポジティブシンキングなやつ。



「ちょうど良かったわ、保険とか、遺言状とか出てきて、


 あなたと話し合わなくちゃって思ってたのよ。」


俺たちにお茶を勧めながら、いそいそと書類を持ってきた。


「ここにサインと印鑑が必要なの。

 数枚お願いできるかしら。」

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