結婚しました!
「あ…はい。でも印鑑は持ち合わせてなくて、」
「大丈夫、買ってあるから。」
俺はカチンとした。
どうしても今日中に肩をつけたいのが見え見えで腹が立った。
「サインや印鑑はどんな中身か確認しなくちゃダメだよ。音々?」
「あ、そうなんですか?」
「ちょっと失礼。」
俺は音々に渡された書類を取り上げた。
内容を見て驚いた。
「なんですかこれは?
遺言の一切を放棄するって?
その遺言書はどこに?それを見せて頂いてから検討して
本人がサインするものですよね?
それにこれは、音々さんが受け取りになっている保険ですね?
どうするつもりなのですか?」
「ま、他人のあなたが口出すことではないでしょう?
音々さんはいいって言ってるじゃないの?」
「あなたがやろうとしていることは違法ですよ?
弁護士を立てて告訴してもいいんですよ?」
「こ、告訴ですって、あなたは何者なの?」
「僕ですか?ぼくは音々の…」
なんだろう?同居人?身元引受人?インパクトないな、
「僕は、音々の婚約者です。」
思わず、口から出まかせが飛び出した。