結婚しました!

それは突然やってくる。

鼻歌を歌いながら、キッチンにたつ音々。

さっき買ったおでんを半分に切りながら鍋で温めている。

「お祝いだから。」

そう言って音々はコンビニスィーツも選び、

俺もワインを奮発した。

祝いの席になんでおでんなのか、

他人が聞けば、そう突っ込みたくなるだろう。

あの日、音々を拾った夜。

食べさせたコンビニのおでん。

あれが俺たちを繋いだのだ。

あの日から、音々にとって

コンビニおでんはとっておきの食べ物になった。

「ご飯もたけましたよ。夕御飯にいたしましょう。」

嬉しそうに微笑む音々が眩しくて、

慌てて目をそらす。

「うん」

「八起様?何か困っていることでもお有りなんですか?」

大ありだ。

こんな変な女に惚れるなんて

こんな年になって

『恋煩い』とかありえないだろう?

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