結婚しました!
「この間、預かった書類です。」

「え?」

俺は音々とあらかじめ書き込んだ書類を取り出した。


「元々、俺も音々もオタクの財産には興味はないですから。」


「そ、そうですか。」


そう言って受け取ろうとした高宮氏の手に渡る瞬間に、

それを引っ込めた。


「但し…

 正式な遺言状だけは、お見せいただきたい。

 音々にはその権利があるはずです。」


「それは…」


「俺を調べたなら、経歴や、

どういう男なのかお分かりですね?

 誤魔化せないとわかったからこそ、

お呼びになったんですよね?」


「そうですね。

 法律関係のお仕事についてらっしゃった方だ、

 私たちが太刀打ちできるわけないと思っていました。」


そう言うと、

少し離れたところに立っていた妻に、目配せをした。


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