結婚しました!
頷いて席を外し、しばらくすると、

彼女は、文箱とお茶を持ってやって来た。


「あ、お手伝いします、おばさま。」


音々が手伝おうとする手を振り払い、


「いいのよ、あなたはこの家のものではないのだから。」


冷たい目で、一瞥した。


音々は、体を固くして俺のそばに張り付いた。


俺の知らない何かが、

この人たちの間にあるのは確かだ。


「音々、君のお父さんが残したものだよ、

 君にはそれを確認する義務と権利があるんだ。」


「はい。」

文箱には音々に当てた最後の手紙と、遺言書が入っていた。

音々は緊張した様子で手紙を開いた。
< 98 / 206 >

この作品をシェア

pagetop