結婚白書Ⅲ 【風花】
【続・風花】 ― 静穏 ―
息子に会う楽しみと 別れた妻との再会の気の重さの両方を抱え
待ち合わせの場所へ向かった
三ヶ月ぶりに会った賢吾は 私の姿を見つけると飛びついてきて
久しぶりに会う小夜子は 私に静かな笑みを見せてくれた
私の奥底にしまい込んだ罪悪感がうごめいた
確かに当時 彼女の身勝手に腹を立てていたが
朋代の存在を隠したままであったこと
それは私の狡さだったのではないか
ずっとそう思いながら ここまできてしまったのだから……