恋はいっぽから!(続編)~夜明けの珈琲~









ひと言も発することなく……


彼女は、テレビ画面へとかじりついていた。





……果して、ちゃんと理解しているのだろうか…?





役者達の表情の変化、情感溢れる……演技。



それを観ているだけでも。




なんとなくだが…、内容を理解できなくもないだろうけど…。






……しばらくすると。






ストーリーの変化に合わせて、いよいよ彼女にも……反応が生まれる。







「……Oh…,Shit…!」


「………?!」




俺はぎょっとして…、


彼女の方へと振り返る。



彼女はソファーに座り、苛立った様子で…膝を打っていた。



俺はそれを……ソファーの下から見上げる。




てか…、何で一歩まで英語になってるんだ。





「………。」



物語の中へと、随分……入りこんでいる感じだ。




やがて………。




ずびっ…、

ずずび、……と…、



鼻を啜る音が…聞こえてくる。




「Boone…,You are a very strong and tolerant person.(ブーン…、あなたはとても強くて寛大な人だわ。)」




「……………。」





……泣いてるし。


だから、なぜ英語?




「Generosity is innate in some people….(寛大さが生まれながら身につけている人もいるのね…。)」




「………。」





くるくると変わる表情。





こんなに…表情豊かな奴ではなかったのにな。








先程既に観ていたシーンということもあり、大体のストーリーを把握している俺は…。



つい、映画そっちのけに…彼女のその反応が気になってしまう。




以前はネイティブな英会話を聞き取れないくらいにリスニングは苦手であったのに…、


いつの間にやら、ごく普通に理解できている。


しかも……


自らも話せるくらいに。









会えない月日で…、


見えない所で……、




彼女は確実に、成長を遂げ、そして…変わりつつあったのだ。






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