恋はいっぽから!(続編)~夜明けの珈琲~
「…Yoast…,I admire your enthusiasm.(ヨースト…、私はあなたの情熱に感服します。)」
「…………。」
「………Go! Gerry !!!(行け!ゲーリー!Julius!……Julius!!(ジュリアス!……ジュリアス!!)」
「………………。」
映画がエンディングを迎える頃には…、
彼女はいよいよ立ち上がって……
叫ぶ。
「…I remember The Titans!!(私は…タイタンズを忘れない!)」
……半ば見事なタイトルコール。
もうさすがに堪えきれず、思わず吹きだすと……。
「………?!何故笑っているのですか。この感動的なシーンで。」
ようやく、俺の存在を認識したらしい。
「別に…。ただ、面白いなあって思って。」
「…………。いやぁ、映画って本当にいいもんですね。」
(注:つい、映画評論家・水野いっぽ氏になりました)
「……ぶっ…」
駄目だ、三船節が冴えてきた。
「…あ…、終わったわ☆それでは…、『サヨナラ、サヨナラ、…サヨナラ。』」
(注:淀川いっぽ氏です)
腹を抱えて笑う俺を不思議そうに見ながら…、つられて彼女も…ふと微笑む。
俺はソファーに座って。
彼女の肩を…抱き寄せる。
「良かった…。」
「……?ええ、とても。」
一歩は訳がわかっているのかは定かではないけれど。
こてん、と俺の肩へと頭を置いた。
映画はもちろんだけど……、
君はやっぱり…こうでなくては。
二人きりの、静かな時間……。
珍しく甘えた様子の彼女の頭を、
俺はそっと…、撫でていた。