恋はいっぽから!(続編)~夜明けの珈琲~
「…………っ。」
彼女は少し身をよじらせて…、
声を押し殺しながら、ギュッと瞳を…閉じた。
「………。何コレ、誘惑してんの?」
「違っ…」
彼女は否定するけれど。
この状況では…説得力に欠ける。
「髪…食ってるし。」
湿気で顔に張り付く長い髪を…
手で掻き分ける。
指先に触れた顔が…
僅かに熱を帯びていた。
「………。……買い物でも…行くか。」
「え…。」
「…何か作ってくれるんじゃないの?」
「あ、…はい。」
「それともこのまま…昼の情事に勤しむ?(ニヤリ)」
途端に、
バチンッ…と見事なまでの平手打ちがとんできた。
「もうすぐ夕方ですっ」
「…ソコかよ。」
ツッコミ所を間違えてる。
「…何をのんびりしてらっしゃるのですか?さっさと行きましょう。」
彼女はするりと俺の腕の中から抜け出して。
「着替えるからあっち見てて下さい。」
…語気を荒げる。
「……ハイハイ。」
後ろを向いたフリをして…
こっそり振り返ってみると。
先程乾かしたワンピースを頭から被って…
着ていた俺の服を、脱ぎ始めた。
あらわになった、白く、細い…手足。
後ろ髪をまとめ上げると、
首元には……俺があげたネックレス。
「…………。そんなに肩出して行くの?」
「……?ええ。若いうちしかできないですから。」
「ふーん。」
彼女はやっぱり…、色々とわかっていない。
「……まーいいけどね。」
仕方がないから…少し、意地の悪いことをしてやろう。
背後からそっと近づいて。
彼女の肩を…掴む。
「………?!」
そのまま、肩紐を下げてやると……
首筋に、少しばかりの悪戯を…施す。
最後にちゅうっと音を立てて。
唇を…
離した。
「……これで効果は2倍だな。(ニヤリ)」
念の為の…男除け。