恋はいっぽから!(続編)~夜明けの珈琲~
奴とはそういう関係にはならないという確信があるからであろうけれど。
あっちはきっと…違うだろ。
「それより、こちらのバーテンダーさんとは同級生か何かなんですか?」
「ああ、俺?ハルとは高校の同級生でさ、以来ずっとこうして…付き合いが続いてるって感じ。」
「まあ!そうでしたか。では私と長南殿のような感じですね。」
「……?うん、まあ多分。」
「もしやあなた様もサッカーを?」
「そうそう、俺はキーパー。こいつはFW。エースストライカーだったんだよ。当時はプロのスカウトマンが練習とか見に来ててさ……」
「……崎本!」
「………!…え、ああ……ごめん。」
「……?もっとお話聞きたいです。」
「……。」
「ああ…、そうだ。ここ、日本代表がサッカーの試合があるときには、そこのスクリーンで中継流すんだ。サッカーバーに早変わりっていうか…。今度またハルと来てよ。すっげー盛り上がるから。」
「楽しそうですね。…ええ、ぜひ。」
しばらく、二人のやりとりを……
俺はぼんやりと聞いていた。
彼女は慣れた様子でカクテルを飲み…、
そして、饒舌なまでに会話を繰り広げていく。
「一歩ちゃんて面白いね。モテるんじゃないの?」
「拙者心に決めたお方がおらます故……。」
「ははっ!いや、本当ハルが羨ましいよ。…あ、グラス空になってるね。次…、何がいい?」
「じゃあ…、ジントニックを。」
「了解。……ハルは?」
「…………。」
「……ハル?」
「先生……?」
「………。悪いけど…、崎本、また来るわ。」
「え?」
「会計頼む。」
「…ああ。…わかった。」
……なぜだろう。
いつもよりも…酔いが回っているのか?
それとも、ただ苛立ちが抑えられないのか?
いずれにせよ……
何だか居心地が悪かった。