恋はいっぽから!(続編)~夜明けの珈琲~
…そう思って。
外へ飛び出そうと、勢いよく玄関の扉を開いた時だった。
ゴンッ…☆
…と、鈍い音がして。
何か固いものに……
ぶつかる。
「……………一歩…。」
その場に小さくしゃがみ込んでいたのは……
紛れもなく、彼女……
三船一歩であった。
ぶつかったのであろう額を抑えて、
「……忘れ物をしたので…」
…と、小さく呟く。
「忘れ物するの…、得意だよな。中…はいれば?」
「…………。すみません。出掛けるとこだったんですよね。…取ったらすぐ帰りますから。」
俺は…、彼女を玄関の中へと招き入れる。
……俺に対しての警戒心っていうのは…
本当に、ないんだな。
「…甘いんだよ。」
「え?」
他の男にあんな事聞かされて、黙ってられる程、俺は大人じゃ…ない。
一歩が顔を上げたと同時に。
警戒心ゼロの隙だらけの彼女を…
壁に追いやる。
「……あの…?」
「…………。忘れ物とかって…嘘じゃないの?」
「……え。」
「…とか何とか言って、また『貴方のハートを奪いにきました』っていうオチがついてんじゃなくって?」
「…はあ…?何をおっしゃってるのでしょう。私は、携帯を……」
「…せっかくネタ提供してやってんのに。」
「………??」
「…行き詰まってんだろー?」
「……確かにそうですが…、なぜ貴方がそれを…。あっ、さては長南殿ですね!そんな口が軽いとは…、よもや相方失格です。」
一歩は、逃げ場はないと悟っているのか……
顔を逸らして、口を尖らせる。
「ははっ、そりゃあ願ってもないな。奴からもちょうど伝言預かってんだ。とりあえず次回はピンでやるそうだ。…だから…、ネタを提供してやる。きっとお前の悩みとやらも一気に解消して一石二鳥だと思うけど?」
「…と、言いますと…?」
「人には披露できない甘~いネタで良ければ。」
「………。スピードワゴンの井戸田さん並の突っ込みなら可能でしょうか?」
「………。さあな。」