恋はいっぽから!(続編)~夜明けの珈琲~
たちこめるコーヒーの香り。
ゆらゆらと揺れる…湯気。
俺はテーブルに彼女と向かい合って座り……、そっと、カップへと…口をつける。
「ど……、どうですか?」
「…………。」
いつもとは違う味。
コーヒーの温度も、香りも、何もかもが…違うけれど。
「……旨い。」
いつも以上に…美味しく感じた。
「…お前は…?飲まないの?」
彼女はまだ…口をつけていない。
「…ああ、そうか。」
俺は立ち上がって、キッチンに向かうと……。
ある物を手にして、彼女の傍に立った。
「…砂糖とミルク。」
ソーサーの上に…それを置いた。
「………え…、なかったのでは?」
「昨日買い物ついでに…これも買った。」
「私の…為にですか?」
「……。以外に何があんだよ。」
「…………。ありがとうございます。」
「どういたしまして。」
彼女はそれらを珈琲に入れて。
ようやく……口に入れる。
「……おいしい……。」
「だろ?」
「『だろ?』って、まるで自分がいれたかのようないい草ですね。」
「一緒にいれたじゃん。」
「フィルターにお湯を注いだのは私です。」
「……。あ、そー。そんなの…どうでもよくね?」
「………?」
「どっちにしろ、美味いんだし。」
「……そう…ですね。」