恋はいっぽから!(続編)~夜明けの珈琲~
「お。上がったな。」
「……ありがとうございます。」
彼女はブカブカの服を着て。
やっぱりタオルをかぶったまま……
ペタンとクッションの上に…座り込んだ。
「……。…ちゃんと拭けっ。」
彼女が被ったタオルをわざとわしゃわしゃとさせて…。
ひょいっと顔を覗き込む。
「…………。」
無反応………。
「髪乾かしてやるからこっち来いよ。」
ドライヤーのコードをコンセントに差し込んで。
俺はポンポンっとベッドの上を叩いた。
「………。」
不気味なくらいに大人しく…
何の躊躇いなく、彼女は座る。
「……………。」
ドライヤーをあてながら…彼女の髪を梳いていると。
乾いてふわふわになった髪から、シャンプーのいい香りが…俺の鼻先を擽ぐり始めた。
「……お前さー……」
「……………。」
「………随分無用心じゃねーか?」
ドライヤーのスイッチを切って。
ベッドへと…放り投げる。
「…………。…え?」
ようやく一歩が口を開いたのと同時に…、
俺は彼女の両肩を抑えつけるようにして……
押し倒した。
「……先生……?」
大きな瞳をぱちくりとさせて。
彼女は真っ直ぐに…俺を見る。
「……………。アホ。」
ビシッと額を弾くと……。
俺はベッドから立ち上がる。
さすがに…、今こんなことをしている場合ではないのではないかと…理性が働いたのだ。
「………何か飲むか?何がいい?」
「……じゃあ…、レゲエパンチで。」
「……。昼間から酒かよ。誰から教えて貰ったんだ~?」
「…嘘。何でもいいです。」
「……あっそう。じゃ…、珈琲で。」
「はい。」
ここでようやく……、彼女から笑みが零れた。