君から、私へ。 私から、君へ。
「白神(しらかみ)…そう言うのは『華奢』って言うんだよ…。」


ふと、後ろから違う声が聞こえて、振り向いてみるとそこには麻緒の友達が。


「え?きゃしゃ?」

「そう、綾瀬(あやせ)さんみたいな子は華奢って言うの。

細くて品がよくて弱々しいって意味だよ。」

「へぇ…まんま梨柘のことじゃん」

「そ。折れそうなんじゃなくて、華奢な。」

「麻緒、小林(こばやし)くん、私は華奢ではないと思うんだよね。」



なんだか私を置いてさくさく会話が進んでいるのだけど、私は華奢ではないと思うの。


「いーや、華奢だよ?

守ってあげたくなる感じ。

…な?まーお?」

「えっ、あ、
お、おぅ!」


何故かニヤリとし出す小林くんと、顔を赤くして焦り出す麻緒。


一体今の会話のどこにニヤニヤしたり焦ったりする要素があったのか全くわからないんだけど…?


「と、とにかく!
梨柘はもうちょっと太った方がいいの!!

ほら、口開けて!」

「えっ、ちょ、んぐっ!?」


顔を真っ赤にしたまま何かを強引に私の口に突っ込む麻緒。

……これは、


「…コロッケ?」

「おう!俺の母ちゃんの手作りなんだ!

上手いだろ!」

「うん。麻緒のお母さんの味がする。」


やっぱり麻緒のお母さんのコロッケは美味しいなぁ、と、口の中のコロッケを味わいながらしみじみ思う。


「…白神ったらだいたーん」

「うるせぇ!」
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