君から、私へ。 私から、君へ。
「梨柘!お着替えしよう!!
小林の家に行こう!!!」
「わかった。出てけ。」
「ママ部屋の前で待ってるからね!早くしてね!」
「私のママはそんなに低い声でしゃべらないからね」
精一杯の裏声を出しているつもりなんだろうが、それが裏目に出ていてなんだか気持ち悪くなっている麻緒を部屋から押し出す。
…小林くんの家、かぁ。
何しに行くんだか。
なんで私まで連れて行くのかな?
「梨柘ーぅ!!!!!!着替え終わった?」
「はいはい…。終わったよ。」
ドア越しにバカでかい声で聞いてくる麻緒。
そんなに大きな声を出さなくても、ちゃんと聞こえるから。
「よし!じゃあ荷物を持って!
忘れ物は無いね!?
行こう!さぁ行こう!!
梨柘ママーぁ!梨柘借りてくね!」
「どうぞどうぞー!気をつけてね!☆」
…ママよ、どうしてそんなにハイテンションなんだい?
「梨柘梨柘、」
「…なぁにママ」
麻緒を追いかけて私も玄関を出ようとすると、ママが小さい声で話しかけてきた。
「デート?」
「違う!!!!!!!」
「あ、違うの?
やだー…ママてっきりついに麻緒くんと付き合いだしたのかと…。
早く付き合っちゃいなさいよ」
「う、うるさい!
いってきます!!!」
何を言い出すのかこの人は!!
もう!
「いってらっしゃーい!」
元気な母の声を背に麻緒の元へ。
「…ねぇ、なんで私まで小林くんの家に?」