secret name ~番外編~
セッテは目を閉じる。

別れ際の佳乃の顔が、まぶたに浮かんだ。
最後の頼みも聞けず、名前も言えなかった自分は、彼女に悲しそうな笑顔をさせてしまった。
それなのに、自分の幸せを願ってくれた佳乃に、出来る事はすでにない。

「・・・アホやな、俺。」

つぶやいても、時間は元には戻らない。
願う事で戻るのだったら、何度でも願うのに。
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