secret name ~番外編~
几帳面な割に、セッテは筆不精で、毎年あまり多くの年賀状は書かない。
書かない癖に、彼はやたら年賀状集荷の期限にこだわり、送られた側は毎年必ず、元旦に届くようになっていた。

「住所、事務所返したしなー・・・」

大き過ぎる独り言ではない。
ノーヴェの耳が、きちんと自分の言葉を聞いている事を知っていて、大きな声で聞こえるように話しているのだ。

「届ければ?」

毎日通っていたのだから、家の場所は分かるのだし。
そう思ってノーヴェは発言したが、セッテは溜め息を吐くばかり。
「せやけど、そんなストーカーみたいな真似でけへんもん。」
「じゃあ、諦めて。」
「諦めたら試合終了やん!」
某監督の言葉を借りたセッテは、どこか誇らしげだった。
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