口笛が聞こえたら
えっ
なにか……聴こえる…。
それは確かに結夏の
教室からだとわかった
……口笛?
それは耳を澄ませると
すぐに聞き取ることができた
慌てて教室へ
行こうとした結夏だが
教室には確実に誰かいる
結夏は見られて
いないことを願い
ドアを開けた
ガラガラガラ…。
教室を見渡すと
残っている
生徒は一人のようだ
後ろ姿だったが
髪型や制服から
その生徒は
男子だとわかった
口笛を吹いていたのも
きっと彼だろう
彼は窓から校庭を眺め
口笛を吹いていた
「あっ木下さんじゃん」
彼もこちらに気付いたようで
振り向いた瞬間に
彼が誰だかわかった
青木 流星(リュウセイ)
今日初めて
同じクラスになったため
彼とはあんまり
喋ったことがない
確か……バスケ部だっけ?
『えっと、青木くん…部活は??』
「ん?…まぁ俺は今見ての通り
プリントと戦ってる」
青木くんは
いかにも だるそうに
机にあるプリントを眺めた
プリントを手に取り
苦笑いを見せる青木くん
『見ての取りって……
思いっきりさぼってんじゃん』
思わずつっこむ結夏に
「あっばれた?」
と笑ってごまかす
青木くんって
面白い人だなぁ
なんて思いながら
話していくうちに
段々青木くんの性格を
わかりはじめてきた
「ところで、
木下さんは何しに来たの?」
『あっ!そうだった…
実はノート忘れちゃったんだ』
慌てて机を探るが
ノートは見当たらない
あれっ、、、?
「あっまさかこれ、木下さんの?」
えっと驚く結夏の嫌な予感は
見事に的中していた