雪の花びら


「到着。」

確かに彼は安全運転だったし、景色を見ずここまで来た所為か、私の体調も悪くはなかった。

「ありがとう。」

「いえいえ。では。」

私のお礼に嬉しそうに笑顔を見せて彼は一人駐輪場に向かって行った。


春野君のおかげで一番好きな講義に間に合う事も出来た。

「お、朝日奈。」

「あ、暁君。」

意外にも同じ講義を取っている暁君。
さくらは星や星座は好きに眺めるだけでいいの!といってこの授業は受けていないけど、さくらと仲良くなってから暁君とは一緒に講義を受けている。

「ん??義高は?」

「春野君?」

「朝、朝日奈に急用とかで連絡してただろ?どうしたんだ?」

「あ…。」

春野君、私の雪嫌い、話さないでくれたんだ。

「もしかして、俺、探してる?」

私が説明に困っていると、不意に後ろから彼の声がした。

「お。」
「あ。」

振り返ると春野君は笑顔を見せた。

「講義始まるし、座ろうよ。」

そう言いながら、ニコニコと座り始める。
それに倣って暁君と私も席に着いた。


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