雪の花びら
「いつもありがとう。」
バイクの後ろに乗りながら、前に居る春野君に話しかける。
最初は怖かったけど、最近は後ろに乗るのもちょっと慣れてきていた。
「どういたしまして。」
顔は見えないのに、彼の声から笑っているのが解る。
彼の笑顔はいつもどこか安心出来る。
それからちょっと暖かくなる。
だけど。
時々考えてしまう。
どうして彼は、そこまでしてくれるんだろう?
怖くて聞けない。
普通なら送り迎えなんて…大変なだけだよね?
「そうだ。」
「え?」
考えていると不意に春野君がひらめいた様に声を出した。
「今度、二人で雪見に行きませんか?」
「……。」
雪嫌いの私に雪見って……。
「大丈夫。絶対楽しいですよ。」
そう言い切られてしまうと断りにくい。
…とういうか、本当に楽しいんじゃないかとさえ思う。
「……う、うん…。」
「じゃあ、いつもみたいに今度の土曜日、迎えに行きますね。」
そう言いながら彼はさらに楽しそうにバイクを走らせていた。