雪の花びら


やっぱりどうかしてるかな……。

雪嫌いの私が…。
雪の上に寝転がってる。

なのに……

何故だか幸せなんて。
ずっとこうして居たかった気もする。

「雪見も悪くないでしょう?」

雪がふわふわ舞う空を見ていると横から声がした。
私を雪見に誘った張本人。

本当に土曜日の朝、彼はいつものように迎えに来て、二人でちょっと遠くの公園まで出かけてきた。
春であれば桜の花が舞うこの公園は今は雪で真っ白だった。

「落ちてくる雪、朝日奈さんと見てみたかったんです。」

「そうなんだ…。」

「綺麗で思わず雪嫌い治るかな、と思って。」

そう言って彼はまた笑った。
彼は本当によく笑う。

彼の笑顔は私の中に雪以外のモノを降らせている気がした。

「本当の事言うと、俺も昔、雪、嫌いだったんです。」

上を向いて雪を見ていた春野君は不意に呟いた。

「え?」

「雪、見ると哀しくなるんです。大切な人、置き去りにしたような…変な気持ちになるんです。」

「……。」

初めて聴かされた事実。
それは私の雪嫌いの理由にとても良く似ていた。


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