雪の花びら


「なんか、でも、朝日奈さんに逢ってから軽減されました。」

彼はそう言いながら飛び切りの笑顔を私に見せた。

「朝日奈さん、俺より雪嫌いだから、おもりしなきゃって、ね。」

彼はいたずらっ子のようにそう付け足した。

「おもりって……ひどい。」

ポカっと叩くと春野君は笑いながらごめんなさいと答えた。

雪が降っているのに…苦しくない。
雪の下でこんなに笑えてる。

不思議だけど懐かしい気持ちになった。


          *


散々二人で話しながら雪を見て、気付けば空はほんのり赤くなっていた。

「そろそろ帰りましょうか。」

「そうだね。」

…と、言いながら、少し寂しいような気もしてしまう。
雪の日はすぐに帰りたくなるはずだったのに、春野君のおかげか、雪嫌いも軽減されているのかもしれない。

「大丈夫。また来ればいいんです。」

表情からバレてしまったのか…。
春野君は私にそう言って笑顔を見せた。

"また"

彼のその言葉に一瞬何かを思い出したような気になったけれど、本当に一瞬で次の瞬間には消えてしまっていた。


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